『奇跡の壁』西日本豪雨時に危機一髪で住民を守った壁(砂防ダム)があります。

八幡浜市奥川この砂防はなんと昭和20年に造られました。

写真にある石垣です。奥集落では、昭和18年7月の台風で死者が出る土砂災害が発生し、その時に砂防ダム建造されました。

そして、平成30年の西日本豪雨、土砂崩れで11棟が全壊し、計79棟が大規模半壊・半壊。床上・床下浸水の住宅は計288棟に上り、2カ所で山が崩れた奥集落は3棟が全壊するなどしました。

しかし、最悪の事態を防いだのが、地区を流れる神山川と奥川沿いにある昭和20年の8カ所の砂防ダム。

最も下流にある幅約25メートル、深さ約2・5メートルの砂防ダムには、大木や土のう、布団などの家財道具をのみこんだ大量の土砂が流れ込みましたが、容量寸前で食い止めました。

堤防下には住宅が建ち並び、砂防ダムがなければ被害はより広範になっていたかも、、、今回平成30 年西日本豪雨時、雨量250ミリという集中豪雨で地盤がずれ、再度土砂崩れが発生しました。

その法面を今後土砂崩れの起こる事のない様に、地ならし整備し上にのり枠工法で法面補強した後、二つの支川それぞれに砂防堰堤を増設する工事を県が行います。

10億3千万円の大規模工事になります。この法面補強と砂防ダムは50年から100年の耐用年数という事で安心はしていますが、同時に、終わりのない砂防ダムの建設工事をしつづけ、災害を防ぐ事はこの先もずっと可能なのかも考えなければいけません。

例えば、現存の砂防ダムにも対応できるスリット式があります。

それは既存の土砂の貯まった砂防ダムにすき間を開ける(スリット化)工事を行うものです。

すき間が開けば、いままで貯まっていた土砂を少しずつ流すことができ、その調節量を前よりも増加させることによって土砂を調節する機能を改善することができます。

そうすれば、土砂でいっぱいになって機能が低下した砂防ダムの代わりに新たな砂防ダムを建設しなくとも、砂防ダム本来の機能を復活させ、さらにより効率よく保つことができます。そして溜まった土砂が下流に供給されて高低差がなくなれば、川は元の姿に戻ろうとし、生き物も戻ってきて生態系も復活しはじめます。

そして何よりも、従来の造りつづける仕組みとは違い、その多くが税金によってまかなわれる金銭面での大幅な節約も可能だと思われます。しかし、一番するべき事は森を災害に強い自然の森に還すことだと私は思っています。