12月議会報告(コロナと経済と教育)

1. コロナ下で後継者のいないことが企業の廃業へ繋がるのではないかと懸念するが、 中小企業を取り巻く環境が変化する中、今後、事業承継にどう取り組んでいくのか。 

今後、日本では中小企業の大廃業時代を迎えると言われている。東京商工リサーチによると、2018年の休廃業・解散企業は過去最多の4万6,724件を記録し、今年は、新型コロナの影響もあり、過去最多を上回るペースとなっている。また、中小企業の後継者不在率についても、今年の調査では57.5%と半数を超え、国によると、後継者不足による廃業は、今後さらに加速し今後10年ほどで70歳を超える経営者のうち127万人が後継者未定となると予測しており、この現状を放置すると、2025年までにGDPは約22兆円、雇用は約650万人失うとされ、本来、残っていくべき企業も廃業せざるを得ない状況となっている。 

さらに、近年、日本では、最低賃金が上昇し、政府も、早期に全国平均1,000円を目指すとしている。それに伴いコスト上昇により生産性の高くない企業は苦境に立たされ、生産性の高い企業が生き残っていくという社会に変わっていくと思う。私は、日本経済にとって、企業の体質強化を図り、世界との競争力を備えていくこの流れは正しいと思っている。 

しかし、先ほど申し上げたとおり、本来残るべき企業が、後継者問題により廃業に追い込まれることは、日本経済にとっても大きな損失となる。このため、国では中小企業の事業承継のための支援策をさまざま打ち出し、県内でも、松山商工会議所とえひめ産業振興財団が国から事業を受託しており、また、金融機関、商工団体、民間企業などでもそれぞれ支援が行われている。 

しかし、これらの機関に共通する課題は、相談があってはじめて支援の必要性が判明するということである。 これは、後継者がいないことが会社の信用にも関わる問題であり、企業にとって非常に繊細な話であるため、そういった事業所を特定することが困難で、全体像が把握できない要因となっている。 

一方、サラリーマンはAIや機械に取って代わられるとともに、企業はスピード感をもって新しい商品やサービスを提供するようになり、フレキシブルな経営が必要となってきている。昨年、トヨタ自動車の豊田章男社長と日本経団連の中西宏明会長らが相次いで、「終身雇用を前提に企業運営、事業活動を考えることは限界がきている」と発言したが、そこには日本型雇用システムから脱却しないと手遅れになるという危機感が込められている。こうした時代の変化によりサラリーマンのリストラが増加するのではないかと懸念されている。 

しかし、転職を余儀なくされる方々の中には、経営計画に則って予算を立て、必要な人員計画や業務計画を作るなどのマネジメントスキルに長けた人材も多くいる。そこで、県では、これまでも事業承継の促進に向け、移住支援や起業支援との連携も図っているが、転職を考えているサラリーマンにも事業承継による就業を積極的に提案して貰いたい。そうすることでサラリーマンによる第三者承継の促進につなげることはできる。 

私は、これまで、起業家精神を持ち、ビジネス案はあるのに、経験や人脈不足により起業まで至らなかった人を多く見てきた。「千三つ(せんみつ)」という言葉があるようにベンチャー企業の成功率は0.3%ほどと言われている。この低い成功率を考えると、まず近い業種の企業に後継者候補として入り、その企業でノウハウや地元とのつながりを学び、後継してから、新たな事業展開として、本来やりたかった事業に取り組む方が成功率は高い上に、その企業の経営も新しい時代に即した形態に変化していくことが期待できるのではないか。 

そのため、県では、事業承継に関わる関係機関が持つ、後継者のいない事業所についての情報連携を促進し、優秀なサラリーマンと地方の後継者のいない企業とのマッチングを進めてほしいが、 

中小企業を取り巻く環境が変化する中、県は、今後、事業承継にどう取り組んでいくのか。 

回答

コロナ下で、後継者のいないことが廃業へ繋がるのではないかと懸念している。

現在、愛媛県事業承継支援ネットワークによる34団体の連携により事業承継の支援を行ってはいるが、なおいっそう創業者支援を事業承継とからめるなど第3者承継の推進に取り組んでいくことにする。 

その他の質問

2.
(1)県庁業務でテレワークをどう推進していくのか。また、今後、テレワークの推進などによる通勤弱者の雇用拡大も含め、人材確保にどう取り組むのか。 

(2)テレワークの普及による社会の変化をどう捉え、本県への企業誘致に向けてどう取り組んでいくのか。 

3.新型コロナウイルスを契機としたデジタル化などの教育の変容が子どもに与える影響をどのように捉え、教育活動の充実にどう取り組んでいくのか。 

4.里親委託の推進について 

(1)生殖補助医療の状況をどう認識し、今後、里親制度の周知、啓発にどう取り組んでいくのか。 

(2)新生児里親委託について、本県の現状と今後の取組方針はどうか。 

5.産婦健康診査の重要性をどう認識し、今後、子育て世代包括支援センターの 充実にどう取り組んでいくのか。 

後記

感染拡大により、社会変化のスピードが増し、行政も企業も個人も、この流れに乗り遅れまいとしているように見えます。

この新型コロナの感染拡大下において、不易と流行の見極めが、更に重要になっていると感じます。

不易とは どんなに社会が変化しようとも、「時代を超えて変わらない価値のあるもの」、 流行とは「時代の変化とともに変えていく必要があるもの」 です。そのような不易と流行という視点から、今回の質問をさせて頂きました。 

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